広告制作ノ現場カラ~1日目/悪魔の言葉/センス~

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こんにちは✋ ICOI BLOG です。

以前から広告制作やデザインの仕事をしてて感じたことなんかを連載っぽく書きたいなと思っていましたので、不定期にはなると思うのですが「広告制作ノ現場カラ」というタイトルで始めてみたいと思います。

広告・デザイン制作やDTPのお仕事をされている方なら共感してもらえるような「あるある」や、現場で役立つちょっとした豆知識なんかも紹介できたらなと思っています。逆に、制作会社を使われる広報担当の方々には、デザイン制作会社をうまく使う方法というような切り口になればいいなと思っています。

では1日目は、広告制作でしばしば使われる「悪魔の言葉~センス~」について…

「〇〇さんのセンスでよろしく頼むよ」という恐ろしいセリフ。

制作現場の方ならこのセリフ一度は言われたことがあるのではないでしょうか。

個人的には言われて困るセリフ堂々の第一位です。何が恐ろしいって、全く方向性が定められていないことです。広告制作・広告デザインは、アートでもましてや魔法のようなものではありません。目標に到達するための手段です。担当者の好き嫌いや、趣味趣向でつくるものでは決してありません。

難しい言葉なんですよね、センスって。まるで特殊能力のようなイメージで使われることが多いのですが、そもそもセンスってなんなんでしょう。

ファッションセンスや野球センス、お笑いセンスなど、さまざまな分野で使われる言葉ですが、今回は例として格闘技におけるセンスを取り上げてみましょう。

センスは授かり物ではない

格闘技センスが凄い!と多くの人に言われる選手として、ボクシングの井上尚弥選手やキックボクシングの那須川天心選手(ボクシングに転向予定)がいます。どちらも本当に強い。しかも倒し方がひときわ鮮やかなので井上選手はモンスター、那須川選手は神童なんて呼ばれ方をされています。その圧倒的パフォーマンスから2人とも「格闘技センス抜群」と称されています。

このとき多くの人が、天才という言葉とオーバーラップして思い描くことが多いのではないでしょうか。生まれながらにして特殊な能力を与えられているというような意味合いで。しかし2人のインタビューでの発言や記事を追っていくと、どちらも幼少期から(文字通り)血の滲むような練習を積み重ねてきたことが伺えますし、「天才」という言葉で簡単に片付けられることに違和感を感じていることも度々語られています。圧倒的なパフォーマンスの要因は授かり物のセンスや才能ではなく「努力で手に入れたもの」だと。

デザインに話を戻しましょう。デザインにおける「センス」はというと、わたしは「引き出しの多さ」だと思っています。「なるべくたくさんの引き出しを用意しておき、お題に対してどの引き出しを開けるか」ということ。

はじめにも書きましたが、広告制作、広告デザインはアートではなく、クライアントの抱える課題や問題点を解決するために存在するものです。自分の型のデザインを押し付けるものではなく、クライアントの個性を引き立たせたり、新しい一面を生み出すために、クライアントらしさに寄り添ったものでなければなりません(もちろんときにはその「らしさ」を逸脱することも含めて)。

センスは積み重ねて伸びていくもの

夏のイメージならアレとアレとアレ、女性向けならコレとコレとコレ、バーゲンならソレとソレとソレなど、たくさんバリエーションや方法論を蓄え、クライアントの個性・目的に合わせてその引き出しから最適解を選び、組み合わせて新しいカタチをつくるスキル。それが広告制作における「センス」だと考えています。

そう考えると、センスは積み重ねて伸びていくものなわけです。たくさんいいデザインを見て、いいコピーを読み、なぜいいのかを考え、蓄えていくことでセンスは磨かれていきます。センス0の人が100になることも可能です。努力さえすれば。

センスを諦めるな

なぜタイトルで「悪魔の言葉」という言い方をしたかというと日常的に使用される「センス」や「才能」という言葉の裏に「逃げ」や「隠れ蓑が」存在すると感じることが少なくないからです。つまり「彼らは特別だ」「自分と違って当然だ」というときに「センス」や「才能」という言葉が使われてしまうのです。これは成長するチャンスを逃す、大変もったいないことだと思っています。

最近ではYouTubeをはじめ、InstagramやWebサイト制作など、いわゆる一般の方がクリエイターとして活躍する世の中になりました。会社勤めをしている方にとってもクリエイティブな能力が不可欠と言われて久しい昨今。

センスという言葉を「逃げ」として使わず「チャンス」と捉えて成長していければ、仕事も生活も景色が変わるのではないかと思います。センスを諦めるな!と日々努力していきたいものです。